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長谷川一男さん

長谷川一男さんのストーリー

正論は何も生まない。肺がん患者と喫煙者の対立の原因が見えてきました。

【私が応援するのは、友人】

肺がん患者ってたばこの煙が怖いんです。単純に「嫌」とかじゃなく、がんの再発とか、病気が悪くなるって思ってます。2018年に受動喫煙の対策を強化する法律が作られて、その時に患者団体は、少しでも患者に寄り添った法律になるように頑張りました。国会に呼ばれて証言したりもしました。でも、言えば言うほど喫煙者との溝が深まっていく実感があったんです。どうしても対立していくんです。そんな中、結心プロジェクトに参加して、考え方が変わりました。 

それまでは、僕は正論を振りかざすだけでした。「私は肺がん患者です、周りでたばこを吸われると自分の病気が悪化するかもしれなくて、非常にその恐怖を持っています。なので私の周りでたばこを吸わないでくれませんか」と、ストレートに言っていました。そして、それでもたばこを止めてくれなければ、なぜ止めないんですか?私の論理の中にどこか矛盾ありますか?その気持ちをなぜ受け取らないんですか?みたいな…

でも、これをやっても解決しないし、対立を生むだけで、前にちっとも進まないんだなというのが分かりましたね。じゃあどうしたらいいか・・・次の段階はそこですが、答えは喫煙の経験がない自分の中には全くありませんでした。プロジェクトで、元喫煙者の方々がその経験とか知見とかを教えてくれて、依存の苦しみなどを知ることができて、寄り添いたいと思っているところです。 

依存ということを知って、喫煙者に対して、それまで感じていたような好き勝手に吸っていて、人の迷惑を顧みないとか、人の健康に害があるのに吸うのは何故なんだとか、理解不能なところが減ってきた気がします。オレは何も知らないんだなと。禁煙する苦しみがわからない。それがどんなに辛いか、困難なのか、全然共感していませんでした。だから、どんなに正論を言っても喫煙者に伝わるわけないなと。対立する理由が分かりました。 

今度、愛煙家の友人にアプローチしてみたいです。まずは「アンケートやっているんだけど協力して。禁煙してみようと思ったことある?」と聞いてみようと思います。