禁煙の大変さ

~禁煙はニコチン依存との闘い~

頼んでも、怒っても、禁煙してくれない。
”やる気の問題”ですか?

「禁煙なんて、やる気があればできるのに」と、たばこを吸ったことがないメンバーは思っていました。
たばこをやめてと頼んでも、吸うなと怒っても、一向に禁煙してくれないのは、やめる気がないからだと悲しくなっていました。
でも、肺がんと診断されたことをきっかけに禁煙したメンバーが少しずつ話してくれました。
「止めるのは本当につらい。いま思えば抗がん剤よりもきつかった。認めたくないけど、あれが依存だったんだな」と。

頼んでも、怒っても、禁煙してくれない
それはニコチン依存かも

それは、”ニコチン依存かもしれません

たばこの葉に含まれているニコチンは、依存を引き起こします。依存症とは、「ある物質あるいはある種の物質使用が、その人にとって以前にはより大きな価値を持った他の行動より、はるかに優先するようになる一連の生理的、行動的、認知的現象」です。楽しいはずの旅行も、電車や飛行機で「たばこが吸えない」と考えるとイライラしたり、街歩きを楽しむよりもたばこを吸える場所をキョロキョロ探してしまったりと、知らず知らずのうちに優先順位が変わってしまうのです。

病気なのに、喘息の発作が出るのに、赤ちゃんが生まれるのに、ほんとは止めたいのに、たばこを止められない。それは、ニコチン依存かもしれません。
麻薬じゃあるまいしと思うかもしれませんが、ニコチンは実はコカインやヘロインに匹敵する依存物質。
こうしたニコチン依存から脱出するには、禁煙補助薬を使うことも選択肢の1つです。

一方で、「煙や有害物質が少ない」という触れ込みの、アイコスやグロー、プルームテックなど、たばこ会社が発売している加熱式たばこへの切り替えも思い浮かぶかもしれません。しかし、加熱式たばこのニコチンはさほど減らないことが報告されており、残念ながら、最終的には、ニコチン依存を解決する方法になるとは言えません。

薬を使った禁煙方法

禁煙補助薬には、薬局やインターネットで購入できるもの(ニコチンガム、ニコチンパッチ)と、病院で処方してもらうもの(ニコチンパッチ、飲み薬)があります。病院で処方してもらうには、禁煙外来を開いている医療機関を探して受診してください。禁煙指導に慣れた医師や看護師とチームで禁煙することができ、一定の条件を満たせば保険適用になります。

掛かる費用はいずれも1か月に8000円程度で、1日1箱たばこを吸う人ならば、1か月のたばこ代に満たない額です。
服薬期間は2,3カ月が一般的で、禁煙外来は、3カ月間に5回通うことが標準です。薬を使って禁煙すると、意思の力で禁煙するよりも成功率が2倍から4倍に高まります。

薬を使った禁煙方法

「禁煙させる」ではなく、
応援する

たばこを吸っている人の多くは、禁煙しようかなと思ったことがあるそうです。
厚労省の調査(国民健康栄養調査)によれば、約3割の喫煙者が「やめたい」と思いながら吸っているそうです。
しかし、その気になれば、いつでも止められると、禁煙を先延ばしにして依存を深めてしまっているのです。
依存している人に、頭ごなしに正しいことを押し付けて止めろと言っても、対立するだけです。
「たばこをやめようと思ったことある?」、「禁煙ってなかなか大変らしいね」と、相手の気持ちに寄り添い、
「なんで止めようと思ったの?」、「たばこを止めるとしたら、どんな時?」などと禁煙する目的を言葉にして、共有することから応援を始めてみませんか?
(監修: 国立がん研究センター がん対策情報センター たばこ政策支援部 外来研究員  吉見逸郎医師)

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